株式インデックスのパフォーマンス
2024年2月22日に、日経平均がバブル期最高値(38,915円)超えの終値39,098円をつけ、3月4日には、終値40,109円となり、4万円を超えました。
日経平均の上昇から約4ヶ月遅れ、7月4日にはTOPIXもバブル期最高値(2884.40)超えて、2,898.47Ptと堅調な値動きを見せました。
大型株を中心に堅調な株価推移であったと言え、年間を通して株高であったことが、日経でも報道されました。
要因として、脱デフレ、東証改革、新NISAが挙げられています。
- 脱デフレ: 賃上げ推進、物価上昇目標達成
- 東証改革: ROE8%を目標にPBR1倍未満の銘柄に改善計画を求めています。
- 新NISA: インデックス投資や高配当銘柄
日経: 株高イヤーの日本、「脱デフレ・東証改革・新NISA」が3本柱
一方で、グロース市場は冴えない動きであり、東証から下記レポートが広報されるに至った。
レポート: グロース市場における今後の対応 - 2024/12/10
-
日経平均株価
- 大発会始値: 33,193.05 円(2024/01/04)
- 大納会終値: 39,894.54 円(2024/12/30)
- 年間収益率: 20.2 %
-
TOPIX
- 大発会始値: 2,359.28 Pt(2024/01/04)
- 大納会終値: 2,784.92 Pt(2024/12/30)
- 年間収益率: 18.0 %
-
グロース市場指数
- 大発会始値: 881.19 Pt(2024/01/04)
- 大納会終値: 824.57 Pt(2024/12/30)
- 年間収益率: -6.4 %
日経平均やTOPIXが20%近い上昇であり、日本株インデックスは高パフォーマンスであったと言えます。
一方、グロース市場は-6%と冴えない動きとなっています。
日経が報じている要因の2つ、
- 東証改革による低PBR改善や株主還元強化
- 高配当やインデックスETFに買いが集まる新NISA
の影響を受けやすい大型株を中心とした日経平均やTOPIX、影響を受けにくい小型株のグロース市場と明暗がはっきりしたと言えます。
業種別のパフォーマンス
東証17業種分類のインデックス指数に連動するETFの価格で代替。(1617~1633のNEXT FUND TOPIX-17 上場投信)
17業種 | 大発会始値 | 大納会終値 | 年間収益率 |
---|---|---|---|
食品 | 35,610 | 37,930 | 6.5% |
エネルギー資源 | 17,260 | 21,660 | 25.5% |
建設・資材 | 27,510 | 31,420 | 14.2% |
医薬品 | 25,655 | 27,555 | 7.4% |
自動車・輸送機 | 28,580 | 32,720 | 14.5% |
鉄鋼・非鉄 | 23,040 | 27,245 | 18.3% |
機械 | 47,870 | 58,330 | 21.9% |
電機・精密 | 32,830 | 38,800 | 18.2% |
電力・ガス | 7,886 | 8,407 | 6.6% |
運輸・物流 | 18,575 | 18,310 | -1.4% |
商社・卸売 | 70,210 | 83,520 | 19.0% |
小売 | 26,405 | 32,590 | 23.4% |
銀行 | 13,730 | 20,340 | 48.1% |
金融(除く銀行) | 19,600 | 28,740 | 46.6% |
不動産 | 33,750 | 38,380 | 13.7% |
- 金融のパフォーマンスが非常に高く50%近い上昇率となっている
- 三菱UFJは1212円→1846円(+52%)、野村HDは635円→931円(+46%)と大型株が高パフォーマンス
- 三菱UFJは時価総額にすると約15兆円→22.2兆円と7兆円以上増加
- 理由としては、今まで低PBRであったため、買われていると考えられます
- 金融に近い不動産は13%とインデックス全体より悪い
- もともとPBRが1倍を超えていた銘柄が多い
- アメリカの商業不動産市況の悪化 参考: 米商業用不動産市況の悪化から紐解く世界経済の脆弱性
- 運輸・物流は17業種のうち、唯一のマイナス
- 2024年問題をはじめとした外部環境が悪い
- 電力・ガス、食品品や医薬品といったいわゆるディフェンシブ銘柄は他業種と比べると冴えない
個別銘柄
個別銘柄に関しては、データ収集の都合上、2024/01/04~2024/12/27の範囲で集計している。
また、独自で集めたデータであるため、実際の数値と差異が出る可能性がある。
本年に上場した銘柄に関しては、上場日から2024/12/27までの収益率となる。
上昇率上位
- 3350 / メタプラネット (スタンダード市場・卸売業)
- 1,816% = 約19倍(180→3,450)
ホテル運営会社であったが、ビットコイン保有、長期投資を表明し、高騰。
上半期を振り返った記事で次のように記載していました。
9月末時点の時価総額180億円です。 7月に上場来高値3,000円をつけ、上昇率が堂々の1位となり4倍、高値で売り切れば、15倍となります。 メタプラネットのビットコインの保有情報は下記の通り。 - 保有残高 530.717BTC - 簿価49億6千5百万円(平均価額9,354,425円) - 9月30日時点のビットコイン価格922万円 有価証券報告書を確認すると、ホテルと思われる固定資産は100億円となっております。 そのため、差額の80億円がビットコイン事業の時価評価となりますが、ビットコイン価格が80億円÷530BTC=1,500万円になる必要があります。
その2ヶ月後、12月に10万ドル=1,500万円に到達。 株価の先見性 を表すような事例になっています。
それを考えると2024年大納会の時価総額約800億円。700億円がビットコイン事業の時価総額。
社債発行による追加購入が17億円分あり、平均価額で買ったとすると約180BTCとなり、合計710BTC。
700億円 ÷ 710BTC ≒ 1億円。為替レートもありますが、さらなるBTCの上昇を折り込んでいるのか、仕手戦的な動きか判断が難しいです。
引用:急騰のビットコインが1500万円台に突入、今後の展望は?「通貨とは違う。乱高下しすぎ」と警戒の声も 専門家の見立ては
- 4935 / リベルタ (スタンダード市場・化学)
- 1,133% = 約12倍(342→4,220)
ファブレスで、フットケア、歯磨き等のコスメ、衣料品の企画。
クラウドファンディングのCAMP FIREとの提携により、高騰。
喜びを企画して世の中を面白くする リベルタは、セルフ販売時代の商品企画会社です 世界中に商品を流通させるマーケティングの プロフェッショナル企業として、 喜びという刺激を世界中に届けていきます。
引用: リベルタ会社HP
工場を持たずに独自の商品を販売しているため、利益率が高いとされています。
ただ、会社予想、四季報予想ともに純利益が減少傾向にあります。
- 5803 / フジクラ (プライム市場・非鉄金属)
- 513% = 約6倍(1,092→6,701)
上半期に続き、プライム市場で唯一のベスト5にランクイン。
データセンター銘柄となっています。
思惑としては、次の流れだと考えられます。
- AI技術の発展によりデータ転送量増大
- 光配線も増加
- 光ファイバ関連において新技術の必要性
- フジクラは研究開発、製品化が進んでいる
下記、フジクラの資料から次の記述が見つかりました。
光ファイバ関連技術におけるキーワードは超多芯&細径化、大容量伝送、低損失、低遅延、高密度実装、高度なファイバ接続技術
引用: クラウドおよびAIデータセンターを支える光ファイバ技術の将来展望
- 2901 / ウェルディッシュ (スタンダード市場・食料品)
- 384% = 約5倍(151→732)
ミネラル麦茶の会社。化粧品が好調により、黒字化。
化粧品会社や介護用品卸をM&Aにより、事業拡大中。営業黒字に転換と、復配により高騰。
- 6736 / サン電子 (スタンダード市場・電気機器)
- 352% = 約5倍(2,250→10,170)
パチンコ台の製造会社。現在は、イスラエルのセレブライト社を持分会社として、損益通算されるため変動が大きい。
セレブライトは、フォレンジックソリューションとよばれる、デジタルデータの分析やデジタル証拠の検出、捜査業務のサポートを行う製品を開発しています。
インターネットによる犯罪が増える中、150カ国以上の政府機関や警察、企業などと取引があります。
また、IoT関連事業も行っています。IoT関連だと、6836/ぷらっとホーム も今年、4倍になっています。
気になることとしては、投資ファンドのオアシスが19%保有し、他の投資ファンドのトゥルーウインドキャピタルもTOBを表明しています。
フジクラに続き下記銘柄もプライム市場において、3倍以上になっています。
- 5535 / ミガロホールディングス (プライム市場・不動産)
- 255% = 約3.5倍(697.5→2,479)
東京23区と横浜を中心とした投資用マンションの開発・販売。
DX推進を軸として、紙面・対面を中心とする不動産業界の業務フローをオンライン化することで、生産性の向上と新たな投資スタイルの構築を狙っているようです。
都心の不動産価格高騰と増配をきっかけに株価も高騰していると思われます。
- 9055 / アルプス物流 (プライム市場・陸運業)
- 247% = 約3.5倍(1,655→5,750)
投資ファンドKKR傘下のロジスティード(旧日立物流)によるTOB成立。
- 7013 / IHI (プライム市場・機械)
- 236% = 約3.4倍(2,749.5→9,250)
防衛銘柄として、石破政権成立の思惑以降高騰。時価総額も1兆円を超える。
防衛事業は23年時点で1250億円から、30年には2500億円と7年で2倍。つまり、10%近い成長を視野にいれています。
地政学リスクを踏まえて、日本国の防衛費はGDP比1%から2%に倍増を想定する中、2025年の予算は8.7兆円と過去最大となっています。
国策に売りなし を表す事例となっています。
引用: 防衛費8.7兆円を計上 11年連続で過去最大 25年度予算案
下落率上位
- 5759 / 日本電解 (グロース市場・非鉄金属)
- -99.8%(1,019→2)
民事再生法申請。米子会社がEV用電池向けの工場を建設するも需要減退により、計画見直し。
支援先が見当たらず破綻。
- 6573 / アジャイルメディア・ネットワーク (グロース市場・サービス業)
- -80.3% = 約5分の1(408→80)
商品のマーケティング支援。不正経費発覚により、下落。
ネット関連会社元CFO、5千万円着服した疑い 自身の会社に送金か
- 3856 / Abalance (スタンダード市場・電気機器)
- -76.7% = 約4分の1(3,200→743)
太陽光パネル製造。2023年は1万3,000円をつけるも、2024年は10分の1以下に。
決算の延期やベトナム子会社から米国輸出も関税強化により減退。
参考: 決算延期のAbalance、要注意ポイントが盛り沢山だった!
時価総額170億円に対して、現金同等物は370億円あるが、エチオピアにて工場設立中のため、そこの費用と考えられます。
- 137A / Cocolive (グロース市場・情報・通信業)
- -76.1% = 約4分の1(3,990→950)
不動産業界向けの営業支援SaaS。2024年2月に上場し、1780円で上場し、4080円をつけるも、年間通して下落。
来期の四季報予想のEPS61円に対して、上場来高値で計算したPERは66倍。大納会終値で計算すると15倍。
営業利益の成長は次の通り。平均50%成長を考えると割安です。直近の16%増加でも割安と見えますが、マーケットの評価はそこまでの成長はないということでしょうか。
- | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 |
---|---|---|---|---|---|
営業利益 | 69 | 140 | 215 | 250 | 350 |
成長率 | - | 102% | 53% | 16% | 40% |
グロース市場が軟調に推移していることもIPO銘柄に不利に働いているのかもしれません。
ミガロホールディングスは不動産販売の好調があると思いますが、不動産とDXで評価されていることもあり、期待しても良いのではないかと思いました。
- 7063 / Birdman (グロース市場・サービス業)
- -76.1% = 約4分の1(1,246→297)
ブランディング支援。「Celest1a(セレスティア)」という、フジテレビと連動したアイドルグループがいましたが、2024年11月1日に解散。
債務超過により、2025年6月までに上場維持基準を満たす観察期間。増資模索中。
プライム市場に限ると、下記3銘柄も半値以下になってます。
- 7071 / アンビスホールディングス (プライム市場・サービス業)
- -74% = 約4分の1 (2,910→738)
医療施設型ホスピス「医心館」を展開。
人材採用や研修費増加。介護報酬改定により、単価引き下げによる業績悪化。
- 9229 / サンウェルズ (プライム市場・サービス業)
- -70% = 約3分の1 (2,446→720)
パーキンソン病専門の老人ホーム「PDハウス」運営。
過剰な診療報酬請求による報道により、決算遅延。
参考: サンウェルズ、24年4〜9月決算発表延期 不正疑惑を調査b
- 6619 / ダブル・スコープ (プライム市場・電気機器)
- -67% = 約3分の1 (884→288)
リチウムイオン電池の絶縁材メーカー。
韓国子会社が連結から持分会社になり、売上減少。
EV期待による2023年の上昇も、需要減少により2024年は年間通して下落。