投資判断を行う際、証券会社のレーティングは重要な指標の一つです。本記事では、レーティングの基本、発表頻度、取得方法について解説し、投資の参考になる情報を提供します。
レーティングがどのようにして行われるか
一つの例として、“株式A”という商品があるとします。 証券会社にはアナリストという職種があり、この株式Aのレーティングを行います。 この評価は、株式Aを発行する企業の経済的な健全さ、将来の成長見込み、業界内での地位などを基にします。
評価の結果の形式
-
アルファベットのグレードで、一般的にはAAAからDまでの範囲で表示されます。 AAAは非常に信用度が高いと評価されたもので、Dは逆に信用度が非常に低いと評価されたものを示します。
-
「Buy(買い)」「Hold(保有)」「Sell(売り)」の形でも示されます。これは、投資家がその商品を買うべきか、保有し続けるべきか、それとも売るべきかを示す指標です。これらは市場の状況や企業の業績により変動します。
-
数値で表現されることもあります。これは、一般的に1から5までのスケールで、1が最も好ましい評価、5が最も不利な評価を示します。
この株式Aが「Buy」や「1」、あるいは「AAA」の評価を得たとしましょう。 これは、投資家にとっては非常に魅力的な投資先として、証券会社が案内・営業していることを示します。 高いレーティングは証券会社のアナリストがその企業が経済的に健全で、投資リスクが低いことを評価しています。
野村證券や大和証券は主に『Buy/Hold/Sell』形式を採用しています。一方で外資系証券会社では、数値スケール(1~5)を使用することが一般的です。
レーティングの見直し
しかし、レーティングは全てを決定するわけではありません。 株式Aが高評価であっても、市場状況や他の要素が変われば、その価値は変動します。 だからこそ、証券会社はレーティングを定期的に見直し、最新の情報に基づいた評価を提供します。
レーティングを実施している証券会社
下記は主要な証券会社の一覧になります。その他証券会社もレーティング情報を出していると思われます。
日本国内証券会社
- 野村證券(Nomura Securities Co., Ltd.)
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd.)
- みずほ証券(Mizuho Securities Co., Ltd.)
- SMBC日興証券(SMBC Nikko Securities Inc.)
- 大和証券(Daiwa Securities Co., Ltd.)
外資系証券会社
- JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co.)(アメリカ)
- マッコーリーグループ(Macquarie Group)(オーストラリア)
- モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)(アメリカ)
- クレディ・スイス(Credit Suisse)(スイス)
- ドイツ銀行(Deutsche Bank)(ドイツ)
レーティング見直しの背景
証券会社が株式レーティングを見直す主なタイミングは3つです。
- 企業が四半期ごとや年次で財務報告を行う時
これらの財務報告には、企業の売上高、利益、負債、資産などの情報が含まれ、これらは企業の経済的健全さと将来の成長性を評価するための基礎データとなります。
- 企業が重要な発表を行った時もレーティングを見直します
新製品の発表、大規模な組織改革、法的問題、あるいはM&A(合併・買収)など、これらは企業の将来の利益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
- 市場全体の状況が大きく変化した時もレーティングの見直しが行われます。
これには金融政策の変更、大きな経済的変動、地政学的な事件などが含まれます。これらは企業の業績だけでなく、投資家の感情や市場全体の動向に影響を与え、したがって株価とレーティングに影響を与えます。
これらの要素により、証券会社は株式レーティングを定期的に更新し、投資家に最新の評価を提供します。これにより投資家は、最新の市場情報に基づいた投資判断を下すことができます。レーティングは一定の時点での評価であり、市場状況や企業の業績が変わればそれに応じて見直されます。したがって、投資家は常に最新のレーティングをチェックし、それに基づいて自身の投資戦略を調整する必要があります。
レーティングを確認できるデータソース
基本的には各証券会社に口座を保有し、公開しているレポートを参考にすることが基本です。
また、証券会社によっては、他社のアナリスト分析を公表していることもあり、口座開設の参考にしても良いと思います。
しかし、外資系証券会社の口座を開くことは難しいため、下記のようなサイトを利用すると良いでしょう。
また、事後的にYahoo!ファイナンスのニュースでレーティング情報を確認できることもあります。
どの頻度でレーティングを行っているか?
レーティング情報を過去10年分集計し、銘柄数と発表数を計算。 1年間の発表数分を銘柄数で割ることで、1年間で1銘柄についてレーティング見直しの回数となる。 この値から頻度を求めることにする。
集計結果
各社合計
上場企業の800社~900社程度のレーティングが発表されています。 東証の上場企業数が4275社(2023年6月末時点)ですので、 大手の証券会社が調査しているのは20%ほどだということがわかります。
年 | レーティング発表数 | 社数 |
---|---|---|
2013 | 10886 | 830 |
2014 | 10092 | 852 |
2015 | 10816 | 883 |
2016 | 10239 | 907 |
2017 | 9339 | 940 |
2018 | 7898 | 867 |
2019 | 7408 | 782 |
2020 | 8233 | 828 |
2021 | 8984 | 953 |
2022 | 8531 | 950 |
2023 | 4593 | 878 |
各社状況
過去2年分に関して、各社がどのくらいレーティングを発表してるかが下表になります。
- 2021年
証券会社 | レーティング発表数 | 社数 | 平均回数 |
---|---|---|---|
CS | 499 | 219 | 2.2 |
JPM | 793 | 295 | 2.6 |
MS | 958 | 279 | 3.4 |
SMBC日興 | 1175 | 482 | 2.4 |
ドイツ | 5 | 2 | 2.5 |
マッコーリー | 392 | 116 | 3.3 |
みずほ | 1142 | 494 | 2.3 |
三菱UFJ | 1330 | 451 | 2.9 |
大和 | 1349 | 585 | 2.3 |
野村 | 1341 | 510 | 2.6 |
- 2022年
証券会社 | レーティング発表数 | 社数 | 平均回数 |
---|---|---|---|
CS | 464 | 201 | 2.3 |
JPM | 818 | 297 | 2.7 |
MS | 868 | 284 | 3.0 |
SMBC日興 | 1187 | 500 | 2.3 |
ドイツ | 11 | 4 | 2.7 |
マッコーリー | 272 | 99 | 2.7 |
みずほ | 1128 | 488 | 2.3 |
三菱UFJ | 1244 | 436 | 2.8 |
大和 | 1232 | 605 | 2.0 |
野村 | 1307 | 480 | 2.7 |
数が少ない会社もありますが、 大体1銘柄に関して、2回~3回程度は発表していると考えられます。
まとめ
証券会社のレーティングを確認することで、投資判断の一助となります。
一方で、上場企業の20%しかカバーされていないため、自身でファンダメンタルズ分析を行う価値が依然として高いことがわかります。
また、1銘柄のレーティングの見直しは年間2回~3回なので、大体半年後のパフォーマンスの比較ができれば、レーティングを活用した投資ができるのではないかと思います。
今後の分析
- レーティングの結果評価