解散総選挙と株価について
解散総選挙による新しい経済政策への期待感や政権の不安定さの解消期待から株価が高くなるというアノマリーがあります。 実際に過去の解散年月日の日経平均株価と選挙日前後の騰落率を調べました。 結果としては、12戦8勝4負の66%と好成績でした。(2024年衆議院選挙を反映)
2024年9月27日に自民党の総裁選が行われ、為替変動が大きく、株高円安だったものが新総裁が決定後、先物夜間、ドル円が一気に株安円高に動きました。
27日のドル円の5分足チャート
15時以降、石破新総裁の誕生が伝わり、15分でナイアガラの滝状態になりました。
27日の日経平均株価の5分足チャート
寄り付き配当落ちを打ち消す。12時以降、一段高となりました。
昼は高市候補が議員投票、党員投票で1位のニュースが流れ、期待感から1.5円ほど円安に進みました。 東証が閉まった後すぐ、自由民主党の石破新総裁が決定してから、ドル円が15分で3円下がりました。
このように総理大臣や政権を担う政党にかかる期待感によって株価や為替が動くことがわかります。 実際に過去のデータを見てみます。
解散総選挙日程と株価の関係
解散年月日 | 解散日の日経平均終値 | 総選挙期日 | 選挙日前営業日の日経平均終値 | 騰落率 | 選挙日翌営業日の日経平均終値 | 騰落率 | 勝敗 | 誕生内閣 | メモ |
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1990/1/24 | 36,778.98 | 1990/2/18 | 37,460.32 | 1.9% | 37,222.60 | 1.2% | ○ | 海部内閣(自由民主党) | バブル崩壊 |
1993/6/18 | 19,804.54 | 1993/7/18 | 20,331.53 | 2.7% | 20,150.92 | 1.7% | ○ | 細川内閣(非自民・非共産連立政権) | 円、戦後最高値更新(100.40円) |
1996/9/27 | 21,547.02 | 1996/10/20 | 21,612.30 | 0.3% | 21,302.95 | -1.1% | ✕ | 橋本内閣(自由民主党) | 住専処理に財政資金投入 |
2000/6/2 | 16,800.06 | 2000/6/25 | 16,963.21 | 1.0% | 16,925.40 | 0.7% | ○ | 森内閣(自由民主党) | ゼロ金利解除 |
2003/10/10 | 10,786.04 | 2003/11/9 | 10,628.98 | -1.5% | 10,504.54 | -2.6% | ✕ | 小泉内閣(自由民主党) | りそな、足利銀行に公的資金注入。金融不安 |
2005/8/8 | 11,778.98 | 2005/9/11 | 12,692.04 | 7.8% | 12,896.43 | 9.5% | ○ | 小泉内閣(自由民主党) | 売買代金4兆円突破。個人投資家のネット取引活発 |
2009/7/21 | 9,652.02 | 2009/8/30 | 10,534.14 | 9.1% | 10,492.53 | 8.7% | ○ | 鳩山内閣(民主党) | 米国でリーマンショックによる不況に対する70兆円規模の景気対策 |
2012/11/16 | 9,024.16 | 2012/12/16 | 9,737.56 | 7.9% | 9,828.88 | 8.9% | ○ | 安倍内閣(自由民主党) | アベノミクス。金融緩和期待 |
2014/11/21 | 17,357.51 | 2014/12/14 | 17,371.58 | 0.1% | 17,099.40 | -1.5% | ✕ | 安倍内閣(自由民主党) | 消費税増税延期するほど、デフレ脱却できていない |
2017/9/28 | 20,363.11 | 2017/10/22 | 21,457.64 | 5.4% | 21,696.65 | 6.5% | ○ | 安倍内閣(自由民主党) | トランプ相場。 |
2021/10/14 | 28550.93 | 2021/10/31 | 28,892.69 | 1.2% | 29,647.08 | 3.8% | ○ | 岸田内閣(自由民主党) | |
2024/10/9 | 39,277.96 | 2024/10/27 | 37,913.92 | -3.5% | 38,605.53 | -1.7% | ✕ | (未定) | 石破総裁による解散 |
- 12戦8勝66%と好成績。約1ヶ月程度の期間で平均リターン3.1%とかなりのパフォーマンス。(年次換算44%)
- 敗戦となったときは、金融システムのリスクあり。
- 好成績となった2005年、2009年は外的環境が良かった。期待感であがったのでは2012年ぐらいか?
2024/10/27の総選挙について
投票率は53.85%となり、自民党が-65の191議席で、公明党が-8の24議席。与党の自公連立で215議席と過半数割れ。
立憲民主は+50の148議席も他野党との連立は難しい状況とのこと。
国民民主党が+21の28議席と大躍進。
政局混迷との観方で、ドル円がGUスタートの153円台。
日経平均株価は、マイナススタートも過半数割れを織り込んでいたため、アク抜けにより+691円高の38,605.53円となりました。
高市トレードについて
産経新聞の朝刊で、麻生太郎が高市候補を支持するニュースがでました。 9月26日は権利付き最終日であり、27日は配当落ちのため、260円程度下げると見られていました。 しかし、26日の終値38,925.63円に対して、寄り付き39,108.27円と前日の1,055円高とS&P500の最高値更新を引き継ぎ値上がりスタートしました。 その後、様子見が続くも後場に高市候補の優勢が伝わると一段高。結果、終値39,829.56円と高値引けとなりました。
その後、夜間先物で最大2,400円下げ。土日明け30日月曜日は、39,117.83円と700円下げで始まり、37,919.55円引けとなりました。 一時2000円安となるも、1910円安で終了しました。
この結果から、高市が新総裁になるという理由で行ったトレードは
噂で買い、事実で売る(buy the rumor, sell the fact)
を徹底していれば、金曜日に+720円(1.8%)勝ち、土日で新政権のトレードアイディアを練ることができました。
※現先の乖離があるため、厳密には異なります。
東証10時 日経平均、伸び悩み 自民党総裁選前で様子見 - 日経新聞