IRNET(未来カタル)とは
毎日、株式相場や経済に関するブログを更新するIRNETの著者が未来カタル氏です。
平日は今日の市況について夜間と朝の相場の動きを観察して記事にしていて、土日は株式教室、コラムを上げています。
また、半年に1回、有料会員を募集しており、ブログ以上の詳細レポートを提供しているようです。
ブログの特徴として、実際に売買している銘柄を公表していることが挙げられます。
いつ頃買付し、損切りし、売っているのかが一部ですがわかるため、表に出ない投資家の行動の一部を見ることができます。
行動の公開により、毎日前場終わりの更新時にはアクセス集中で繋がりにくくなるほど注目されています。さらにはYahooファイナンスの掲示板に登場することもあります。
新安値投資法について
カタル氏のイチオシ銘柄として、よく挙げられている3558ジェイドグループ。
今年の値動きは荒く、レンジではありますが、その値幅はかなり大きいです。
常々、カタル氏は新安値がついたら2週間を待ってから買いに出るように言っています。
一般的な逆張り投資では、このような期間や2日連続で下げるなど具体的な戦術は述べることが少ないです。
また、2週間や2日という長年の相場経験から出た数字は貴重だと考えます。また、再現性のあるのではと考えます。
特に、2週間という期間は、相場の過熱感が冷め、反転の兆候が見え始めるタイミングであると考えられます。
このような経験則の裏にある心理的・技術的な背景も興味深い点です。
故に一昨日の安値 「1112円」が、基準値になり、この株価を2週間待って…安値を割らなければ、もう大丈夫ですから、その日から2日間連続で下がったら…「株」を買い3日連続なら、更にその2倍の株数を買います。
仮に、新安値を付けなければ…少しずつ、2日間下がったら、株を買い始めます。
この方法は、カタルの長年の経験値から「編み出された」確率が高い「正攻法」ですから、みなさんも、是非、会得してください。別にカタルはケチではありません。
これをシミュレーションで検証してみることにします。
シミュレーション条件
- 2024/12/01時点で東証プライム上場かつTOPIX Mid400、TOPIX Large70、TOPIX Core30※
- 検証期間は2018年1月1日から2024年11月29日
- 新安値をつけてから10営業日その安値を割らず、その後2日連続で下落したら、その翌日に買い
- 新安値は本来は年初来安値等を使用するが、シミュレーションの観点から200日安値を利用する
- 保有期間は60営業日で機械的に売却
※小型株やグロース上場を含めると、データの欠損があることと上場廃止が多いと考えて、一旦外した プライム上場企業であっても上場廃止があるので、生存バイアスが発生している可能性があることに注意する
実行結果
- 保有期間を60日間に設定
項目 | 数値 |
---|---|
シグナル点灯 | 3854 |
勝数 | 2203 |
負け数 | 1651 |
勝率 | 57% |
平均リターン | 3.5% |
標準偏差 | 0.135 |
シャープレシオ | 0.25 |
勝ち平均リターン | 12% |
負け平均リターン | -8% |
リスクリーワードレシオ | 1.51 |
- 保有期間を20日間に設定
項目 | 数値 |
---|---|
シグナル点灯 | 3854 |
勝数 | 2203 |
負け数 | 1651 |
勝率 | 57% |
平均リターン | 1.9% |
標準偏差 | 0.087 |
シャープレシオ | 0.21 |
勝ち平均リターン | 2% |
負け平均リターン | 2% |
リスクリーワードレシオ | 0.81 |
- シャープレシオ: リスク調整後のリターンを評価する指標で、超過リターンをリターンの標準偏差で割ったもの。=平均超過リターン / 標準偏差
- リスクリーワードレシオ:リスク(損失)に対するリターン(利益)のバランスを評価します。=平均利益額 / ABS(平均損失額)
取引抜粋
- 4902コニカミノルタ
2019/11/21、2020/1/8と3ヶ月以内に2回点灯。
初回は2019/11/01に公表した「通期業績予想の修正に関するお知らせ」で営業赤字転落+減配を発表。
翌2日には10%下落。軟調な展開が続き、21日に年初来安値をつける。
12月18日に購入するも、2020年には中国・武漢でのコロナウイルス発生による、マーケット全体の下落により、2020/1/8に昨年来安値をつける。
しかも、事務機、コピー機が主体のコニカミノルタ。リモートワーク浸透を見込んだ、SaaSサービスやPC販売などと比べ、事業内容が不利になり、売却時の2020/4/27には404円をつけました。
結果としては、この2回とも-40%。システムだけでなく、投資環境を意識が必要
- 6920レーザーテック
2024/8/5に点灯。この日は、日経平均がブラックマンデーを超える大暴落の日なので、前日を含め2日連続で-10%の暴落。
年初来安値を多くの銘柄でつけるなか、2024年5月につけた、4万5000円以来軟調な展開でした。
その後すぐに3万8千円に回復し、2日連続陰線の2024/9/2の28365円で購入。その後、2024/11/29には、16440円の-42%で売却となります。
半導体銘柄のボラティリティが高いことと構造的に下降トレンドなので、突発的な下落でつけた年初来安値は危ないかも
- 3994マネーフォーワード
2022/2/21に4290円で点灯。この日は、陽線で終了し、そのまま反発。2日連続で下げるのは、2022/3/15になり、4955円で購入。
3月は投資ファンドのキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーの持ち分増加の大量保有報告書の提出や第1四半期の上方修正などがあり、6月には6250円をつける。
しかし、5月の第1四半期の決算発表にサプライズがなく、下落。3ヶ月経過した2022/6/14に3185となり、-36%で売却。
材料がなく下げて、ルールに従って買ったのであれば、反発した時点で欲張らずに売る
結果考察
- 2018年1月1日から2024年11月29日の7年間。最初の1年は200日安値がないので、6年間と考えると、シグナル点灯の3854回は1日1.5~2回程度の取引機会がある
- 保有期間を60日(約3ヶ月)と20日(約1ヶ月)で比較したが、リスクリーワードレシオが60日のほうが改善している
- 新安値をつけたので、銘柄的に弱いため、ある程度の期間保有する必要があると考えられる
- 勝率57%でリスクリーワードレシオが1.5の破産確率は、0.09% そもそもバルサラの破産確率計算とは何なのか?
まとめ
IRNETのブログにある投資手法は、有効なものと言える結果が出た。
プライム市場かつ中型株以上に限定し、機械的に売買をシミュレーションをした。
更に銘柄の特徴やマーケット全体の状況を見て投資判断を下せば、より勝率は高められるのではないか。
しかし、上場廃止銘柄が入っていないので、注意が必要である。