上場廃止とは
証券取引所における株式の売買の対象から外れることです。つまり、証券会社を通じて、その会社の株式の売買ができなくなります。
上場廃止は、証券取引所が定める基準に該当してしまう、もしくは、企業が申請するケースがあります。
上場廃止基準として次のようなものがあります。
- 株主数や売買高、時価総額、流動性などの上場株式に係る基準
- 債務超過に陥った場合
- 破産手続が必要となった場合
- 不適当な合併がおこなわれた場合
- 有価証券報告書等の提出を遅延した場合や虚偽記載があった場合
上場廃止が決定されると「整理銘柄」に指定され、一定期間(原則、1ヵ月)取引が行われた後、上場廃止となります。
破産や債務超過など、単純に経営悪化を理由にしたものだけが、上場廃止になるわけではありません。M&Aによる上場廃止なども理由にあり、整理銘柄に指定される直前に株価が高騰するようなこともあります。
上場廃止件数
年によってまちまちですが、平均70件程度が上場廃止になっています。 月間5,6社は上場廃止になっているようです。
しかし、下記理由にもある「完全子会社化」の場合は、いわゆるホールディングス化による上場廃止も含まれているため、上場社数は70社減っているわけではありません。
具体的には次の通り。
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1805 飛島建設 2024/9/27に飛島ホールディングスの完全子会社化として、上場廃止しました。 しかし、翌日の256A飛島ホールディングスとして、会社設立、上場をしているので、上場社数に変わりはありません。
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4748 構造計画研究所 スタンダード 2024/6/27に構造計画研究所ホールディングスの完全子会社化として、上場廃止しました。 同じく、翌日の208A構造計画研究所ホールディングスとして、会社設立、上場をしているので、上場社数に変わりはありません。
上場廃止した市場
2024年11月末時点で上場市場の内訳は下記の通り。
市場 | 銘柄数 |
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グロース | 596 |
スタンダード | 1590 |
プライム | 1644 |
プライムが一番多いですが、スタンダードとそこまで変わらず、グロースはその3分の1。
そう考えると、スタンダードは約半数なので、多めです。
スタンダードに上場する会社規模から上場に係るコストを維持することよりも、投資に充てたほうが良いとの判断で上場廃止を選ぶようなことも多いかもしれないですね。
上場廃止理由
主要な理由は次の通り。
- 完全子会社化 親会社が株式を100%取得して完全子会社となり、上場廃止となる場合。
- 株式等売渡請求による取得 特定の株主が他のすべての株主から株式を強制的に取得する手続きが完了した場合。
- 株式の併合 株式を併合して1株当たりの価値を高めた結果、流通株式数が基準を満たさなくなる場合。
特に、下2つはわかりにくいですが、これはTOB(敵対的買収)やMBO(経営陣による買収)といったM&A(企業買収)時の手段により分類されています。 流れとしては、次の形が一例です。
- TOBで株式を公開買付け
- 90%以上取得 → 株式等売渡請求
- 完全子会社化 → 上場廃止
具体的な例としては次が挙げられる。
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2899 永谷園ホールディングス 2024/9/27に株式の併合として、上場廃止。「創業家が三菱商事系の投資ファンドと組み、経営陣による自社株買収(MBO)のため実施」しました。 引用: 永谷園HD、27日に上場廃止…創業家が三菱商事系投資ファンドと組みMBO
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3966 ユーザベース 2023/2/7に株式等売渡請求による取得として上場廃止。「投資ファンドのカーライルによる株式公開買付(TOB)を通じた完全子会社化」しました。 引用: ユーザベース、カーライルによるTOBで上場廃止へ・・・赤字のNewsPicksは再成長なるか